第5回 「SWOT分析②」
最終更新日:2025年8月26日
カテゴリ:戦略策定(マネジメントシェア)
皆さん、こんにちは。「戦略策定」コラムの第5回をお届けします。
前回のコラムでは、SWOT(強み・弱み・機会・脅威)分析の1回目として、その基本や3C分析との繋がりなどについてご紹介しました。
今回は、引き続きSWOT分析の活用法と留意点についてお伝えします。
最後までお読みいただけますと幸いです。
1.SWOT分析の活用
前回お伝えしましたように、SWOT分析では3C分析などで把握した事実を、
内部環境・外部環境、プラス・マイナスという2つの軸で整理し、
「強み・弱み・機会・脅威」の4つに分けて分析します。
では、このSWOT分析をどのように戦略に活かすのでしょうか。
最も基本的な考え方は、「強み(S)」を「機会(O)」に投入するということです。
一番可能性のあるところに強みを投入していく(強みを活かしてチャンスを掴む)ことが基本となります。
前回ご紹介した商店街の魚屋の例では、
経営者の魚の鑑識眼や加工技術、産地直送の仕入ルートといった強みを活かして、
消費者の健康志向の高まりや周辺住民の増加といった機会を掴む、という具合です。
(図1)
S・W・O・Tの中で最も大事なのは「強み(S)」です。
「うちの会社はこれが強い」というところです。やはり「強み」がないと戦いに勝つことはできません。
逆に、避けるべきは「弱み(W)」で勝負することです。
弱いところで戦うとどうなるでしょうか。もちろん、そのような土俵だと負けてしまいます。
にもかかわらず、なぜか「弱み」にばかり目が行く人も中にはいらっしゃいます。「ここが悪い、あそこが悪い」と。
本当に必要な箇所は、手当てをしていくことも大切ですが、
では悪いところ、弱いところを改善すれば勝てるかというと、なかなかそういう訳にはいきません。それはまた別の話です。
強みがなければ他社との違いを打ち出すことができず、やはり勝つことは、生き延びることは難しいでしょう。
繰り返しになりますが、戦略を考える上では強みの構築が重要となります。
尚、「弱み」については、弱みが致命傷とならないような土俵で勝負するという視点が必要です。
(例:資金が少なくてもやっていける領域は?)
また、「脅威(T)」については、回避(立ち向かわない)が原則です。
2.SWOT分析の留意点
こうして見てきましたSWOT分析ですが、実際にはそれほど簡単なものではありません。
強みだと思っていても、本当のところはお客さんに聞いてみないと分からないこともあります。
「うちは技術力が強みだ」と思っていましたが、「本当にそれは強みなのか?」と調べてみると、
実はその技術はどこでも(他社でも)持っている、ということもあり得ます。
例えば、ある部品会社では、自社では品質の高さが強みだと思っていましたが、顧客に聞いてみると対応力が強みだとのこと。
品質が良く、価格が適正なのは他の会社にもある。
実のところ、急な依頼にも応えてくれたり、課題を一緒に考えてくれたりといった対応力が高いから取引をしている、というわけです。
さらに、「強み」というのは、自分では気づいていないこともあります。
当たり前のこととして行っているため、強みとして認識していないことがありますが、
現実にはそれが他社にはない貴重な「ノウハウ」となっている場合などもあります。
「強み」以外の項目も、なかなか簡単に判断がつくものではありません。
「弱み」と考えていることが、逆に「強み」であるという見方ができる場合もあります。
(例:店舗が小さい → お金をかけずに低コストで運営できる)
あるいは、「脅威」と思っていることを、「機会」に転換することができないか、と考えてみます。
(例:目の前にスーパーが出店する → 近くまでお客さんが来てくれる)
これは留意点として前回もお伝えした通りで、SWOT分析は固定的なものではなく、自分の立ち位置によって変化するということです。
以上の話をまとめると、上記の図1および下記の図2のようになります。
(図2)
3C分析では、基本的に「事実」を集めます。
いきなり判断や解釈を記載するのではなく、まずは事実をしっかりと把握します。
「事実」と「判断」を分けて考えるということが大切です。
さて、もう一つ留意点ですが、SWOT分析を行っていると、
これは「強みなのか弱みなのか」「機会なのか脅威なのか」と事象を分類することに労力を使い、
S・W・O・Tの配置が終わった時点で、戦略が出来上がったような錯覚に陥ってしまうことがあります。
しかし、SWOT分析を行うだけでは(そこで終わってしまうと)もちろん意味がありません。
何のためにSWOT分析や3C分析を行うのかというと、どこに「選択・集中・差別化」するのか、今後の方向性を決めるために行います。
(そして、選択・集中・差別化した結果を、次回ご紹介するドメインとして設定し、具体策を考えていきます。)
次回の紹介
次回は、企業が生きていくための「ドメイン(事業領域・生存領域)」についてお伝えしたいと思います。
次回もぜひご覧ください。
筆者プロフィール
帖地博幸
コンサルティング企業、IT企業、監査法人、学校法人にて、企業経営やITに関するコンサルティング及び研修業務に従事。
(経営基礎知識、論理的思考力、戦略策定、IT、管理会計などを主に担当。)
現在は主に、企業の理念と戦略の「共有」をテーマにコンサルティングや研修を行う。
マネジメントシェア株式会社代表取締役、中小企業診断士、理念と戦略の共有コンサルタント、後継者の軍師®
参考文献
- 後継者塾テキスト「事業価値と将来像」
- 軍師アカデミーテキスト「事業戦略眼」
- 戦略シナリオ[思考と技術]
{後継者の軍師(一般社団法人軍師アカデミー)}
{後継者の軍師(一般社団法人軍師アカデミー)}
{齋藤 嘉則著 東洋経済新報社}