ICSP 会計税務研究会

第4回 「SWOT分析①」

最終更新日:2025年8月19日

カテゴリ:戦略策定(マネジメントシェア)

皆さん、こんにちは。「戦略策定」コラムの第4回をお届けします。

前回のコラムでは「戦略策定のステップ」と題して、戦略策定の基本的な流れや、3C分析についてご紹介しました。
今回は、現状把握の2つ目の手法として、SWOT(強み・弱み・機会・脅威)分析についてお伝えします。

最後までお読みいただけますと幸いです。

1.SWOT分析の基本

SWOT分析は、戦略を策定する前段階として、経営を取り巻く内部環境と外部環境を俯瞰的に整理・分析するために使用されます。

(図1)

第4回コラム_戦略策定(マネジメントシェア)図1

SWOT分析は特に複雑なものではなく、企業(組織)の状況を、「内部」と「外部」、「プラス」と「マイナス」の2つの軸で整理するものです。
これにより、経営環境を4つの象限に分けて見ていこうというものです。

  • 内部環境のプラス要因 :「強み(Strengths)」
  • 内部環境のマイナス要因:「弱み(Weaknesses)」
  • 外部環境のプラス要因 :「機会(Opportunities)」
  • 外部環境のマイナス要因:「脅威(Threats)」

簡単な例として、次のようなものが挙げられます。

  • 強み:優秀な社員やリーダーの存在、優良資産、資金力、高い技術力/生産力/販売力、ネットワーク、信用/ブランド、特許/ノウハウ、浸透し活用されている理念 etc.
  • 弱み:人材不足、不良資産、立地が悪い、資金不足、技術力/生産力/販売力の低下、信用/ブランド/ノウハウの欠如、企業風土が悪い etc.
  • 機会:市場規模の拡大、市場ニーズの増加、顧客からの好評/問い合わせ、競合の弱体化/撤退、法律の改正、市場の構造変化(政治/経済/社会/技術)etc.
  • 脅威:市場規模の縮小、市場ニーズの減少、顧客からの不評/顧客離れ、競合の台頭/参入、代替品の増加、法律の改正、市場の構造変化(政治/経済/社会/技術)etc.

このように、4つに分けて状況を把握します。

尚、内部環境と外部環境の区別は、はっきりと分かれるものではありません。
自社でコントロールできるようであれば内部、できないようであれば外部といった分け方になります。

また、プラス要因とマイナス要因についても、ある場面ではプラスになり、別の場面ではマイナスになることもあります。
自分がどちらを向くのか、立ち位置によって、追い風にも向かい風にもなり得ます。
例えば、法規制が緩和されて事業に参入しやすくなったという場合、新規参入を目指す会社にとってはプラスですが、既存の会社にとってはライバルの参入が増えるのでマイナスと考えられます。

2.3C分析との繋がり

では、前回取り上げた商店街の魚屋の3C分析とSWOT分析の例を見てみましょう。
経営者(店主)とその妻、およびアルバイト店員1名で営業しているお店です。

まず、3C分析について再度掲載します。魚屋の状況を3つの視点(「顧客/市場」「自社」「競合」)に分けて記載しています。

(図2)

第4回コラム_戦略策定(マネジメントシェア)図2

3C分析では、基本的に「事実」を集めます。
いきなり判断や解釈を記載するのではなく、まずは事実をしっかりと把握します。
「事実」と「判断」を分けて考えるということが大切です。

そして、SWOT分析では、集めた事実を「判断(解釈)」することとなります。
(これは強みだ、弱みだ、機会だ、脅威だと自分で判断します。)

SWOT分析の手順としては、基本的に3C分析の結果をプラスとマイナスに分けて再配置します。
「自社」(内部環境)のプラスとマイナスは「強み」と「弱み」に、
「顧客」と「競合」(外部環境)のプラスとマイナスは「機会」と「脅威」に分けていきます。
3C分析で把握した事実について、SWOT分析でプラス・マイナスの判断を行うわけです。

この際、3C分析の全ての項目をSWOT分析に移す必要はありません。
重要だと考える項目、今後の方向性(3S‐選択、集中、差別化)に関連しそうだという項目を挙げていきます。

  • 強み:「この強みは絶対に活かしたい(活かさないと損だ)」
  • 弱み:「この弱みだけはどうしてもカバーしておかないといけない」「この弱みがある状態では、ここでは戦ってはいけない」
  • 機会:「この機会を逃す手はない。せっかくこんなチャンスがあるんだ。これは掴みたい。」
  • 脅威:「この敵とは絶対に戦いたくない」「こういう大きな流れには逆らえない」

といった項目を記入していきます。

(*SWOT分析の前に必ず3C分析を実施しないといけないかというと、そういうわけではありませんが、 実施しない場合も判断の前提となる事実をしっかりと集めておくことが重要です。)

それでは、魚屋の3C分析をもとにSWOT分析を考えてみましょう。

3.SWOT分析の例(商店街の魚屋)

(図3)

第4回コラム_戦略策定(マネジメントシェア)図3

先程の3C分析の結果を再配置しています。自社は内部環境としてプラス(強み)とマイナス(弱み)に、 顧客と競合は外部環境としてプラス(機会)とマイナス(脅威)に分けています。
(尚、今回は参考例として、3C分析の全項目を再配置しています。)

さて、先程も少し触れましたが、SWOT分析は固定的なものではありません。
見方によっては、強みと弱みが全く逆になることもあります。
自分の立ち位置によって変化します。脅威と思っていることが機会になることもあります。

例えば、店舗が小さいことや、駐車場が無いことは弱み(マイナス)になっていますが、 考えようによっては、そこにお金をかけていないということにもなります。
大きな店舗や広い駐車場を持つことは、そこに資金を投入していますので、その分負担になります。
負担が無いという観点からすれば、強み(プラス)と考えても良いかもしれません。

他にも、目の前に大手スーパーが出店するとあります。
確かに大手スーパーと同じような品揃えで、スーパーより少し値段が高ければ、顧客は全てスーパーに流れてしまうでしょう。
しかし、見方を変えれば大きな機会になるかもしれません。
お店のすぐ近くまで、たくさんのお客さんが来るということです。
スーパーでは扱っていないような良い魚をしっかりと仕入れて、美味しいお造りや総菜に加工して提供するなどすれば、
そうすると、お店に駐車場がなくても、車をスーパーに停めたまま歩いて買いに来てくれるかもしれません。
このように考えると、これは脅威ではなく、機会になるかもしれません。

次回の紹介

次回は、今回に引き続き、SWOT分析の活用法や留意点についてお伝えしたいと思います。

次回もぜひご覧ください。

筆者プロフィール

帖地博幸

コンサルティング企業、IT企業、監査法人、学校法人にて、企業経営やITに関するコンサルティング及び研修業務に従事。
(経営基礎知識、論理的思考力、戦略策定、IT、管理会計などを主に担当。)
現在は主に、企業の理念と戦略の「共有」をテーマにコンサルティングや研修を行う。
マネジメントシェア株式会社代表取締役、中小企業診断士、理念と戦略の共有コンサルタント、後継者の軍師®

参考文献

  • 後継者塾テキスト「事業価値と将来像」
  •  {後継者の軍師(一般社団法人軍師アカデミー)}

  • 軍師アカデミーテキスト「事業戦略眼」
  •  {後継者の軍師(一般社団法人軍師アカデミー)}

  • 戦略シナリオ[思考と技術]
  •  {齋藤 嘉則著   東洋経済新報社}