リース会計基準②
最終更新日:2025年5月23日
カテゴリ:会計
前回は、貸手の会計処理まで記載しました。今回は、以下の内容です。
なお、文中意見にわたる部分は私見であることをあらかじめ申し添えます。
目次
ご参考までに前回のコラムでは、以下の内容を記載しています。
ご興味ある方は、前回のコラムをご覧いただけますと幸いです。
- リース会計基準の変更等
- リースの会計処理
- 範囲
- リースの識別
- 借手の会計処理
- リース契約条件の変更とリースの契約条件の変更を伴わないリース負債の見直し
- 経過措置
- 貸手の会計処理
10.サブリース取引
(1)サブリース取引で使用する用語
サブリース取引で使用する用語、中間的な貸手の原則的な会計処理と例外処理、そして最後に転リースについて説明します。
まず、サブリース取引で使用する用語について説明します。
サブリース取引
原資産が借手から第三者にさらにリース(以下「サブリース」)され、当初の貸手と借手との間のリースが依然として有効である取引のことです。
ヘッドリース
当初の貸手と借手との間のリースのことです。
中間的な貸手
ヘッドリースにおける借手のことです。
(図1)

(2)中間的な貸手の会計処理
原則的な会計処理
ヘッドリース
借手のリースの会計処理
サブリース
- ①サブリースがファイナンス・リースに該当する場合
- サブリースのリース開始日に、次の会計処理を行う。
- ⅰサブリースした使用権資産の消滅を認識
- ⅱサブリースにおける貸手のリース料の現在価値と使用権資産の見積残存価額の現在価値の合計額で
リース投資資産又はリース債権を計上 - ⅲ リース投資資産又はリース債権の計上及び使用権資産の取崩しに伴う損益は、原則として純額で計上
- ②サブリースがオペレーティング・リースに該当する場合
- サブリースにおける貸手のリース期間中に、サブリースから受け取る貸手のリース料について、
オペレーティング・リースの会計処理
(3)中間的な貸手がヘッドリースに対してリスクを負わない場合
次に中間的な貸手がヘッドリースに対してリスクを負わない場合の中間的な貸手の会計処理について説明します。
<サブリース取引のうち、次の要件(1)(2)をいずれも満たす取引>
- 貸借対照表においてヘッドリースにおける使用権資産及びリース負債を計上しない
- かつ
- 損益計算書においてサブリースにおいて受け取るリース料の発生時又は当該リース料の受領時の
いずれか遅い時点で貸手として受け取るリース料と借手として支払うリース料の差額を損益に計上することができます。
- ①中間的な貸手は、サブリースの借手からリース料の支払を受けない限り、
ヘッドリースの貸手に対してリース料を支払う義務を負わない。 - ②中間的な貸手のヘッドリースにおける支払額は、
サブリースにおいて受け取る金額にあらかじめ定められた料率を乗じた金額である。 - ③中間的な貸手は、次のいずれを決定する権利も有さない。
- ⅰサブリースの契約条件(サブリースにおける借手の決定を含む。)
- ⅱサブリースの借手が存在しない期間における原資産の使用方法
上記の中間的な貸手のサブリース取引について、
法的に別個に存在する借手及び貸手としての契約を貸借対照表において別個の契約とせずに
資産及び負債を計上しないことができる例外を定めています。
(4)転リースについて
転リースとは、サブリース取引のうち、ヘッドリースの原資産の所有者から当該原資産のリースを受け、さらに同一資産を概ね同一の条件で第三者にリースする取引のことです。
(図2)

中間的な貸手は、転リース取引のうち、貸手としてのリースがヘッドリースの原資産を基礎として分類する場合にファイナンス・リースに該当するとき、次のとおり会計処理を行うことができます。
- ①貸借対照表上、リース債権又はリース投資資産とリース負債の双方を計上する。
- ②損益計算書上、支払利息、売上高、売上原価等は計上せず
貸手として受け取るリース料と借手として支払うリース料との差額を手数料収入として各期に配分し、
転リース差益等の名称で計上します。
リース債権又はリース投資資産とリース負債は利息相当額控除後の金額で計上することを原則とするが、利息相当額控除前の金額で計上することができます。
リース債権又はリース投資資産から利息を控除するにあたって使用する割引率は、リース負債から利息相当額を控除する際の割引率を使用します。
転リースは、企業会計基準適用指針第16 号の定めを踏襲しています。
主に機器等のリースについて仲介の役割を果たす中間的な貸手の会計処理として実務に浸透している企業会計基準適用指針第16 号における転リース取引の取扱いは、
サブリース取引の例外的な取扱いとして、本適用指針において企業会計基準適用指針第16 号の定めを変更せずに踏襲しています。
貸借対照表上はリース債権又はリース投資資産とリース負債の双方を計上した上で、収益及び費用を純額とする定めであり、
借手のすべてのリースについて資産及び負債の計上を求めるとする本適用指針の主たる改正目的についての例外を定めるものではありません。